下痢や血便の症状
下痢とは、便が通常よりやわらかくなって排出されることを指します。ほとんど水のようになることもあります。多くは、排便回数が多くなります。排便によって水分が失われることから、脱水にも注意しなければなりません。もっとも多い原因としては、ウイルス性の胃腸炎が挙げられます。ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどへの感染によって、下痢症状が引き起こされます。
血便は、血液が混じっている便のことを指します。必ずしも肉眼で血液を確認できるとは限らず、その確認のためには便潜血検査が必要です。大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性腸炎などの他、胃がん、胃・十二指腸潰瘍など、さまざまな消化器の病気、または、いぼ痔・切れ痔・痔ろうなどの肛門の病気が疑われます。
受診の目安
- 便に血が混ざっている
- 様子がぐったりしている
- 腹痛を伴い、嘔吐を繰り返している
- 同じ食べ物を食べた人が同時に下痢になった
- 水分補給ができていない、半日以上おしっこが出ない
- (1歳未満の赤ちゃんの場合)白色の下痢をしている
- 38.5℃以上の高熱がある、(3カ月未満の赤ちゃんの場合は38℃以上の発熱がある)
子どもの下痢・血便の原因はウイルス?ストレス?
下痢は、腸がウイルスまたは細菌などに感染した際に、身体が病原体を出そうとして起こるものです。
その際、腸が収縮することによって、痛みを引き起こします。他にも、冷たいものや消化の悪いものの食べすぎで下痢を起こす場合もあります。
また、ストレス、身体の疲労なども腹痛や下痢の原因になります。
子どもが強くストレスを感じていると、頭痛や動悸、睡眠障害などの症状を一緒に起こすこともあります。
子どもの話を聞く、好きなことをさせてあげる、外で運動させる、といった「ストレスの発散」を上手にできるようにしてあげましょう。
子どもの下痢・血便から考えられる疾患
ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)
ノロウイルス、ロタウイルスなどへの感染によって起こる胃腸炎です。
発熱、吐き気・嘔吐、下痢などの症状が見られます。血便は比較的稀な症状です。特にお子さまは脱水にも注意してください。
ウイルスによっては二次感染のリスクが高くなるため、医師の診断・指導を受けた上で治療に取り組むことが大切です。
細菌性胃腸炎(食中毒)
カンピロバクターやサルモネラ菌、病原性大腸菌が食物などを介して、体内に侵入して感染する病気です。一般的に「胃腸炎」といいます。
症状がでるまで1日~2週間程度と幅があり、主な症状は発熱や激しい腹痛、嘔吐、下痢などです。また、病原菌によっては血便を伴うこともあります。
乳糖不耐症
牛乳や乳製品に含まれる「乳糖」が消化・吸収できないことから、食後から激しい下痢が引き起こされる病気です。その他、腹部膨満感、放屁などの症状が見られることもあります。
牛乳・乳製品を食べてすぐに下痢を起こした場合には、この病気を疑います。
食物アレルギー
アレルギーとなる食べ物を食べた際に、アレルギー反応が起こることで下痢が生じることがあります。下痢以外のアレルギー症状には湿疹や嘔吐、充血などがあります。原因となる食品を食べてから、2時間以内に症状が現れます。
大腸リンパ濾胞増殖症
生理的な程度を超えて、腸管リンパ組織が増殖したものを大腸リンパ濾胞増殖症といいます。血便や腹痛、発熱、下痢などの症状がみられるのが特徴です。
裂肛
太くて硬い便が肛門を通過するときに、肛門の皮膚が裂けることでできた傷です。便秘や下痢が原因で起きます。1~3歳頃に多くみられ、排便時の痛み、排便時の出血なども症状として現れます。
下痢が続く…どのくらいで治る?
感染性胃腸炎や急性胃腸炎の場合、下痢は3・4日~1週間程度で症状が回復しますが、赤ちゃんは長引きやすい傾向にあります。
また、下痢が治って食欲があっても油断はせずに、脂っこいものと消化が悪いものは、完全に落ち着くまで控えましょう。
子どもが下痢になったときの対処法
締め付ける衣類は避け、楽な体勢にする
締め付ける衣類は避けて、本人にとって楽な恰好で寝られるようにしてあげてください。
脱水を防ぐ水分補給
お茶やお水、経口補水液などを飲ませましょう。
柑橘系のジュースや乳酸飲料、牛乳は控えるようにしましょう。
食事ができるのであれば栄養補給
おかゆやうどんなど、消化の良い食べ物を与えましょう。揚げ物や酸味の強い物など、消化の悪いものは避けてください。
体を清潔に保つ
下痢がついたところをそのままにせず、毎回温かいシャワーや座浴できれいに洗い、おしりを清潔な状態に維持しましょう。
自己判断での下痢止めはNG
下痢止めを服用するとウイルスの排出を妨げてしまいます。自己判断で下痢止めを飲ませることは控えましょう。
子どもが下痢をしたときにおすすめの食事
赤ちゃんが下痢をしてしまったときの食事は、離乳食を一段階戻し、水分と塩分を少し増やしていつもより柔らかめにします。
①水のようなうんちのとき
※このテーブルは横にスライド出来ます。
主食 | おかゆ | |
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おかず | 野菜のコトコト煮 | |
野菜 | にんじん、だいこん、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、じゃがいも、かぼちゃ(皮をむいたもの)、キャベツ、かぶ | |
たんぱく質 | 鶏卵、とうふ、はんぺん、鶏むねのひき肉(少量) | |
味付け | 塩、みそ、しょうゆ、コンソメ、中華だし、ケチャップ(少量) | |
油 | やめましょう | |
その他 | 乳製品 | 控えましょう |
くだもの | りんごのすりおろし、缶詰(パイナップル以外) | |
のみもの | 幼児用の果物ジュース |
②やわらかいうんちのとき
※このテーブルは横にスライド出来ます。
主食 | ごはん、うどん、そうめん、パスタ、食パン、ロールパン | |
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おかず | 加熱したもの ※生もの、揚げ物、脂身の多い肉・魚はやめましょう |
|
野菜 | ①の野菜、レタス、白菜、玉ねぎ、トマト、なす、パプリカ、ピーマン、セロリ、里芋 | |
たんぱく質 | 豚肉、鶏肉(脂と皮を取る)、とうふ、納豆、サケ、タラ、ヒラメ、カレイ、アジ、ブリ、タイ | |
味付け | 普段の味付け | |
油 | 少量(サラダ油、オリーブオイル、ごま油) | |
その他 | くだもの | りんご、なし、もも、バナナ、スイカ、柿、さくらんぼ、びわ、洋ナシ |
おやつ | せんべい、ビスケット、クッキー |
おすすめの食事
- 湯冷まし、麦茶
- 味噌汁、野菜スープ、すまし汁
- すりおろしりんご
- おかゆ、にゅうめん、おもゆ
要注意!控えた方がよい食事
- かんきつ類や糖分の多いジュース
- 揚げ物や脂肪分の多いもの
- 海草・きのこなど食物繊維が多いもの
- 酸味の強いもの(レモンなど)
- 牛乳・乳製品